2013年2月9日土曜日

花まゆ展酒井登巳子氏

深山奥山だより 2月9日 初午 飛騨地方では、初午を月おくれの3月におこなう。稲荷まつりともいう。特にこの地方では養蚕繁昌の祈願がさかんだった。家家では御神酒、赤飯、だんごを供えてまつりをおこなう。初午だんごは米の粉で繭の形につくる。味噌やたまりをつけると、蚕がビショ繭をつくるといって嫌った。繭は上等のものをコマイといい、ほかのオオマイ、ナカマイ、ビショマイと選び分ける。オオマイは糸にならないので、真綿をつくり、ナカマイは自家用生糸に、ビショマイは紬を織るのに用いた。いい繭はかたくしっかりしているが、ビショマイはくずれかかったやわらかい繭のことだ。春駒の唄に、〓シクに上りてつくりしまゆは、鴨の川原か桂の川の、瀬に澄む石にもよく似たるまゆ〓とあるようにそのような繭が上等だった。

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